『一瞬と永遠』【】
『太陽と月』【青学・大石秀一郎】
俺の決め技は『ムーンボレー』
“月”のボレー。
名前の由来?
きっとそうだな。三日月みたいなカーブを描く所から来ている。
はそれが決まるといつも言うんだ。
「本当に月みたい。」
そう言えば、前に誰かに言われた事がある。
ふと、思い出した少し昔の出来事。
「月」について言われた事がある。
それが誰だか思い出せないけど、その言葉だけが印象に残っている。
・・・かもしれない。
そうだ。アイツだ。
だってはいつも俺を驚かすような事ばかり言うから。
いつも俺を笑顔にする事を言うから。
「大石って月みたいだよね。」
最初は意味がわからなかった。
月?って・・・丸いからか?髪型のせいか?
そう思って聞いてみると、
「違う違う。雰囲気とか・・・そういうのが月みたい。」
もう少し詳しく説明してもらって、やっと理解できた。
どうやら俺は“月”に雰囲気が似ているらしい。
神秘的な雰囲気。とかそういうのじゃなくて、
俺は“あったかい”らしい。
落ち込んでいる時、泣きそうな時、そっと希望の光を照らしてくれる
そんなイメージ。
我侭を言っても、無茶をしても、ふわりと暖かさで包み込んでくれる
そんなイメージ。
随分と前の事だった。
それをふと思い出して
に聞いてみた。
「俺って月みたい?」
「おうともさ!」
ああやっぱり。
にこにこと満面の笑顔のを見ていて思った。
“月”より“太陽”が似合うな。
いつも明るくて。
何にも邪魔されず
自分の輝きを持っている。
「ならは太陽だ。」
「え?太陽?私が?」
「ああ。いつも柔らかい暖かさで俺を迎えてくれる。」
物凄く恥ずかしい事で、
言うのは勇気が必要だった。
は吃驚した顔をして
照れくさそうに頬をかいて
ありがとう、と微笑んだ。
どんなに不安定でも安心できる温もりを与えてくれる。
そんな存在。
眩しいほどの笑顔で俺を、人々を幸せにしてくれる。
そんな存在。
俺が笑顔でいるのには絶対欠かせない。
そんな存在。
(自分だけの太陽。それが君であるという事)
『出会いと別れ』【青学・菊丸英二】
サヨナラなんて言わせない
ばったり街中で会ったのに。
コンニチハなんて聞きたくない
ありきたりの言葉なんて
グウゼンデスネ?そんなわけない
必然必然。神様の思し召し。
手を取って行こう
こんな人込みの中会えた、奇跡とも言える偶然。
コンニチハ、サヨナラ
コンニチハ、サヨナラ
コンニチハ、サヨナラ
繰り返し繰り返し、続く続く俺らの言葉。
街で、学校で、公園で、会う度
繰り返し繰り返し。
コンニチハ、サヨナラ
コンニチハ、サヨナラ
コンニチハ、サヨナラ
コンニチハ、の次
サヨナラ。
サヨナラなんて、
別れの言葉なんて、
もういらない。
(君との会話にそんな言葉は必要ない。だって、離れたくないから)
『笑顔と涙』【】
『大人と子ども』【立海・真田弦一郎】
俺は歳の割には大人びている、と言われる。
これは両親や親戚等、本当の大人から言われている事だ。
俺の顔は老け過ぎである。
これは友人、テニスの試合などで会った他校の者に言われる事だ。
大人びている、と言われても別に気にはならないが『老け顔』はそれなりに傷付く。
これでも中学生だ。・・・例えそう見なくとも。
「真田は見た目スッゴイ大人だけど・・・結構子供っぽいよね。」
帰り道、に言われた。
「何だ急に。」
「や、クラスの子がね、話してたの思い出してさ・・・」
例えばどの様な所が?と問うと、ええと・・・と少し考えてから、
「負けず嫌いなトコとか。」
と笑った。
「そうか?」
「そうだよ。」
まぁそこが良いトコでもあるんだけどね。
そんな真田が好きだよ。
覗きこんでが微笑んだ。
一瞬にして体の体温が上がる。
慌てて帽子を深く被り直し、顔を隠す。
「その反応とかも、中学三年じゃ、珍しいよね。」
純情だねー。がまた笑った。
その笑顔だけで心臓が激しく脈打つ。
見た目がどれほど大人でも
歳の割に大人びていると言われても
こう簡単に動揺してしまうようでは・・・
まだまだ俺も、子供だと思う。
(人はこれをむっつり助平と呼ぶ。)
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